薬王堂気まぐれ通信使№794  2018-12-16
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

12月16日・日曜日、広島大学大学院理学部が主催する植物観察会に参加してきました。
この会はヒコビア会も共催し私は40年近く参加し色々なことを教わってきました。
今日は広島市を東西に走る平和大通りの植物を観察いたしました。
平和大通りは100m道路とも呼ばれ、原爆投下後、市内の防火を考えて施設された広島市を横切る約5キロの道路です。


原爆投下前は民家が込み合う市街地でした。
戦後、平和を願う全世界の都市から記念樹として移植された樹木が植樹されています。
西広島駅に10時に集合歩き始めました
まず新己斐橋を渡って太田川放水路の河川敷に塩生植物を見に行きます。
ここには、ハマサジ・ハママツナ・フクドなどの塩生植物が生育しています。

イソマツ科=ハマサジ
アカザ科=ハママツナ (APG分類=ヒユ科)
キク科=フクド()

近年、植物遺伝子鑑定からAPG分類法が導入されるようになり科名がずいぶん違ってきました。
ハマサジとハママツナは7月の豪雨でほとんどが流されて確認が困難でした。
辺りには、ホソバノハマアカザシオクグテリハノイバラ・・
道の斜面には流れ着いて発芽したセンダンやギシギシ(種子)・外来のヘラバオオバコ・カラスノエンドウ・オオニシキソウなどが生育しています。
樹木の標識が分からなくなっているものもあります。
クスノキの大木にノキシノブやトキワシノブ(台湾原産)が着生していました。


トキワシノブの着生


ギンモクセイの実が成っていました。
サンゴジュは産後樹ではなく、三五樹でもなく、葉が赤くなって珊瑚のように色ずくことから名づけれれたとか?自説!
落葉にクヌギが混じります。
被爆ナツメが目に入りました。
戦前に植わっていて被爆したナツメの木のようです。
ナツメの木はあまりくねくねしないこと、木材が硬いことなどから回転軸にしたり推進用の羽板を作成したと言われています。
また実は植栽して大きくし食用や薬用に用いられてきました。
原種に近いサネブトナツメには野生動物に食べられないよう枝に多くの刺があります。
ナツメにも刺がまばらに残りますが実には種子(棗仁)が入っていないものが多く、人の手が加わって種が保たれてきたことがうかがえます。
ナツメの実は精神を安定し味を調える働きがあり原種に近いサネブトナツメの種子(酸棗仁)は不眠症に用いられてきました。
冷たい雨が降ってきました。
中国原産のシナサワグルミ・八重花のクチナシ・カキ・ビワ・スダジイ(瀬戸内海ではコジイ)・ナナミノキ・ケヤキ・エノキウラジロガシノグルミアオギリなど持ち込まれた樹木が大きくなっています。
アオギリの実は1800年前に書かれた中国の医学書=傷寒論に梧桐子として記載されており、丸薬をアオギリの実の大きさに丸めて服用するよう指示しています。
アメリカフウとタイワンフウの葉の違いも教えてもらいました。


平和公園に至る河川敷に植わるタイワンフウの紅葉


今日は平和大通りを横切るつもりでしたが雨が降り出したので平和公園で解散することにしました。
約3キロの行程でした。
原爆で犠牲になられた方々のご冥福を祈り帰路につきました。
ポケットには今日の植物を思い出させる品々が入っていました。

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